日本涙道・涙液学会理事長就任にあたって
このたび、日本涙道・涙液学会の理事長に就任させていただきました。よろしくお願いいたします。本学会は2011年10月1日に発足したまだ新しい学会ではありますが、日本眼感染症学会、日本眼炎症学会、日本コンタクトレンズ学会とともにフォーサムを開催しており、今年は第6回日本涙道・涙液学会総会を大阪で開催します。 学会設立以後、まず取り組んだことが涙道内視鏡の保険点数化でした。幸い涙管チューブ挿入時における点数化を獲得することができましたが、検査機器としての涙道内視鏡検査の点数化までには至らず、引き続き保険点数化に向け努力しています。学術的には、TS-1による眼副作用の前向き検査を角膜学会と共同で取り組んでおり、間もなく調査結果をお知らせできると思います。そのほかにも先天鼻涙管閉塞の治療指針についても委員会を立ち上げ作成中です。また、涙道専門医育成のために年次総会に合わせて涙道内視鏡およびDCRのスキルトランスファーを毎年行っています。 本学会はその名前の通り、「涙道」と「涙液」に関する臨床と研究を行う会員の集まりです。近年、涙道治療の領域では、眼科医によるDCR鼻内法、涙道内視鏡の導入により、急速な進歩を遂げています。涙液の分野では、種々の機種を用いた涙液動態の解析が開発されており、また新たなバイオマーカーの試料として涙液は注目を集めています。現在、会員数は500名に近づき、学会活動も年々活発になってきています。我が国の涙道、涙液に関する治療、研究のレベルは非常に高く、世界をリードする立場となっていると実感しています。本学会がさらに発展し、世界に情報発信していけるよう努めてまいりたいと考えています。学会員の皆様におかれましては、引き続きご指導、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願いいたします。
2017年4月吉日
日本涙道・涙液学会
理事長 白石敦(愛媛大学)